呼び出し音が聞こえる。

トゥルルルル‥‥。



「はい、島野です」

予想外に小さな女の子の声だった。

話し方からすると、7歳くらいだろうか。

まさかとは思うが、念のために聞いてみた。

「美佳子ちゃんですか?」

少し間があった。

違ったか。

「はい、そうです。あなた誰?」

「美佳ちゃん、電話なの~?」

遠くで母親の声が聞こえる。

僕は黙って電話を切った。

父のもう一人の子ども美佳子は自分より年上かとばかり思っていたが、こんな小さい子だったなんて‥‥。

もしかしたらたまたま同じ名前の美佳子で、父とはまったく関係のない人かもしれない。

僕は住所を調べて、自分の目で確認しようと考えた。

日曜日なら父は家にいるはずだ。