「みんなも知っているとは思うが‥‥」

芝山がそう切り出した。

教室がにわかにざわめきだった。

「ケンのことなんだが‥‥」

ユウキが立ち上がった。

「ケンは大丈夫なんですか」

いつもはおちゃらけているユウキの顔がこわばっている。

「ああ、大丈夫だ。おじいさんの家にいる」

芝山は宙を見つめた。

大きく息を吸う。

「ケンは今おじいさんのところにいる。お母さんが亡くなって、その葬儀やらでずっと学校を休んでいるんだが、ずっと休んでばかりもいられない」

終業式は来週だ。

ケンはもう2週間近く学校を休んでいる。

「よかったじゃん」と教室からは小さな声が次々と漏れた。

ユウキがまた立ち上がった。

「じゃあ、ケンはもうすぐ復帰できるんですね。クラス発表の勝利のお祝いもしていないし、おれたちもなんか中途半端な感じだったから、これでちゃんと元通りになれるんだ」

ユウキは無邪気に両手をあげて万歳をして見せた。