「あ、ああ…うん、ありがとう」

つい他人行儀になってしまった。


だって、こんなの、反則だろ。


いままでおかえりすら言わなかった瑠璃が、お疲れさまだなんて。

パタン、と寝室の扉をしめる。

「はあ…」

ため息が漏れた。


瑠璃と暮らして一年くらいたったはず。


なのに、なんでか慣れないのだ。

「…可愛いなぁもう」

毎日が新鮮で、毎日が恋愛で。

彼女にすっかり染まってる自分がいた。


叫びたくなるようなくすぐったさを、ため息で紛らす。


瑠璃に負けたように赤い頬を、手で触れて確認した。

なんだか瑠璃より熱い気がした。