「違いますよ、こんな子が芸能人だったら毎日出まくってるじゃないですか」

「それもそうね。…こんな子なら日向くんにも釣り合うはずだわぁ…」


何を言ってるのかわかんないけど。


歌月の上司さんはいい人であることがわかった。

飯塚さんのことも怒ってたし。

かなり自由の効く会社だから、仮眠室のことも気にしないでと言ってくれた。



当然、これで解決じゃない。

私はもう一人巻き込んだ人がいるのだ。



呆然と私を見つめる彼に、頭を下げる。


「ごめんね…お兄ちゃん」


そう言うと、お兄ちゃんの瞳が濡れて、私に駆け寄ってきた


お兄ちゃんの匂いに包まれて、少しだけ安心する。



「瑠璃ぃっ!よかっ…よかった、無事でっ!」



わんわん泣きながら抱き締めてくるお兄ちゃんに罪悪感。

ごめんねお兄ちゃん、心配かけて。

薬まで飲ませて、怒ると思ってたのに。

泣かれると、胸に染みちゃう。