――向かった喫茶店は地獄だった。



「出会いはオフェスで」とか

「帰りの遅い日あったでしょ?私といたの」とか。



自慢話をめいっぱい、これでもかと並べてくる彼女。

だんだん聞く気も失せてきて、泣きたくなってくる。


そんな私を楽しそうに眺める彼女は、とても可愛らしかった。


私とは違う、幸せな道しか歩んでなさそうな女の子。

ああやっぱり、歌月も普通の女の子がいいの?

こんな、真っ黒な女じゃなく。

普通に愛らしい女の子がいいんだ。



…わかってたじゃない、最初から。

歌月に私は似合わない。

私はいない方がいいんだよ。



歌月は優しいから。

きっと偽善でいたんだ。

私が可哀想だから、守らなきゃならないから。



「別れてくれますか?」



最後の最後に、そんな言葉を刺された。

「…はい」

頷きたく何てなかったけど、私は歌月が大好きだから。


歌月の幸せを潰したく泣くって、了承した。