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「さっきさ、寝てたとき、なんの夢見てたの?」


そう聞かれたのは夕飯のあと。

好物のキャラメル味の今川焼をトースターで温めていた時だった。


「……夢?」


見てたっけ、夢なんて。

ご飯を食べたあとのぼんやりとした頭で、記憶を手繰り寄せる。


「寝言で緑くんって呼んでたからさ」


「……」


にやり、と妖しく笑う彼に、羞恥心を感じる。

いやだ、記憶がないぶん恥ずかしさが増す。

それで思い出した、夢の内容を。


「………初めて会ったときの夢見てたの。パソコンに、昔の写真が入ってて……思い出したの」


そう言うと、満足そうに笑って。

つい私の頬も動いてしまった。


「…そこで笑うんだ」


そう言って、私の頬を撫でる。

触れられた所から熱を帯びて、心臓がゆっくり暴れだす。


どんどん歌月の綺麗な緑の瞳が近づいてきて、魅せられて。


彼の瞳の中に映ることが、ものすごく幸せに感じた。


「つまりは、瑠璃は俺のこと考えて笑っちゃうんだ」


「…うるさい」


そう言われると、恥ずかしくなって、目を反らそうと、



「…んっ」



そんなことを許さない歌月は、私の唇をいとも簡単に奪ったのだ。



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