くぅくぅと小さく息をしながら、やけにあどけない顔で眠る彼女。

なんともかわいい。


半開きの無防備な口。

無表情じゃない愛らしい面。


「…レポート?」


眼前に広がるはレポートのパソコン画面。


現在大学一年生である瑠璃。

確か近々試験があるから、それに提出するレポートを書いているのだろう。



瑠璃の兄は作家だ。



それなりに人気があり、ナントカナントカ賞とかを受賞したりしなかったりなどの経歴もある。

本屋では当たり前に平積みだ。

それの助けがしたいと『日本文学科』を選択した瑠璃だが。


「…な、」



よりにもよって、兄の――伊織の本をレポートにしているのだ。



紙はたぶん試験の勉強で、それが息詰まったからレポートにしたと思われる。

パソコンには兄の作品についてながったらしく記されていて、瑠璃の胸元には気付かなかったが、抱き抱えるような形で本が。