ピーンポーン、と。


いつものようにインターフォンを鳴らす。


「…瑠璃?」


出ない。

その事実に不安を覚え、鍵を回す手も粗末になりながら部屋に滑り込む。


沈黙が降りた家。

瑠璃がいるはずなのに。


おかしいと思い、リビングへ入る。




「あ…」



よかった、いた。

その事実に胸を撫で下ろす。


瑠璃は食卓の上に何やら紙とノートパソコンを広げて、這うように寝ていた。


「…」

何かの作業の途中に力尽きたみたいだ。