薫子様、一大事でございます!


高崎さんの声に滝山が反応した。


まさかそんな言葉が高崎さんの口から出てくるとは、私も思ってもみないことだった。


「はい。仕事の都合で大阪へ」

「大阪……これまた随分と遠くでございますな」


滝山が腕を組んでウーンと唸る。


それじゃ、モモちゃんと黒猫はもう一生会えないかもしれない。


……もしかしたら。

モモちゃんは引っ越すことがイヤで家出をしたのかも。


黒猫と離れることがイヤで。



「……あの、高崎さん、」

「はい?」