それでも気分を何とか持ち上げて


「それじゃ、しっかり留守番をお願いしますね」


北見さんに笑顔を向けた。


私も準備をしなくちゃ。

事務所のドアに手を掛けた。


――あ、そうだ。


「それから、モモとクロも――」


振り向きざまに、肩先がトンとぶつかる。

それが北見さんだと気づいたのは、北見さんの腕が後ろから私に回されたときだった。


――!!


「ちゃんと帰って来いよ」


耳元で囁く。