北見さんがいないと、この事務所は壊滅的な損害を被る。 ……事務所は。 ……。 私も……? 北見さんは多分、ずっとここにはいない。 帰るべき場所がある。 いつかは、いなくなってしまう人……。 だから…… 「薫子ちゃんの理想の恋ってのは、どんなのなんだい?」 「理想の……恋、ですか?」 芙美さんが、うんうん、と首を縦に振る。 理想の恋。 どうなんだろう。