私たちが事務所へと戻ったのは、18時を過ぎた頃で。 すっかり長くなった陽のおかげで、そんな時間になっているとは思いもしなかった。 そして、マンションの下でバイクを降りた時のことだった。 「あ、兄ちゃん、」 ヘルメットを外した北見さんに、年配の男性が声を掛けて来たのだった。 誰だろう? 自転車にまたがり、カゴにはたくさんの新聞らしき束。 夕刊の配達なのかな? 「この前探してた猫は見つかったのかい?」 「えっ、あ……」