「俺は察しの良い人は好きだよ」
そんな事を言いながら、三鷹くんはポンと優太の肩に手を乗せた。
優太は三鷹くんをじっと見上げる。
…優太はすぐ人をじっくり見る癖がある。
何考えてるか分かんないし、ぼーっとしてるし、完全にマイペース小僧だ。
「田中さんは察しが良いのか悪いのか微妙過ぎるんだよ。察したと思ったら全然違う事思ってるし」
だよね、田中さん。と言わんばかりの表情を見せた三鷹くん。
え、そうなの!?
私って色んなこと勘違いしてるって事…?
「それならそうと言ってよ!」
「めんどくさい」
「ええー…」
三鷹くんはニッコリと微笑んだ後、自分の鞄を持ち上げた。
もうお帰りのようだ。
「じゃあまたね、田中さん…それに優太くん。田中さんはちゃんとすぐにお風呂入ってね」
「わ、分かってます!」
「さよならー」
私に続く優太。
それを聞いた三鷹くんは涼しげに笑って我が家を後にした。
「……ふぅ」
やっと落ち着けるようになった…。
私は大きく息を吐いて伸びをする。
と、優太はじっと私を見つめてきていた。
「……あの人良い人だね」
「…え!? さっき優太、性格悪いって言ってたじゃん!」
「悪いけど、ちゃんと良い人だよ」
「そっ……うなの…?」
コクリと頷く優太は、「じゃ俺着替えてくる」と言って自分の部屋に上がって行ってしまった。
…まあ、確かに三鷹くんは優しいとこもあったけど。
私……もうちょっと三鷹くんに対する見方を改めてみようかな。
って!
私早くお風呂入らなきゃ!!