――そして放課後。

珠妃はサッカー部が練習をするグラウンドの方へ向かった。


グラウンドでは既に部員達が練習着を着て練習を始めている様子。


それを珠妃はフェンス越しに眺めた。






「オラちゃんと声出せー」

「この後軽くゲームするぞー」







部活の練習の声が聞こえてくる。


そして優太が真面目に部活に取り組んでいるのを見て、珠妃は自然と見とれてしまっていた。









「よーし田中。今日はちょっとミッドフィルダーやってみろ」






そんな声が微かに聞こえて、私は「えっ」と身を乗り出す。



確か優太はディフェンダーだったはず。

そんな変わることってあるの?



サッカーの知識がない珠妃は首を傾げてその様子を窺う。



そしてしばらくしてチーム内でのゲームが始まった。







「右右!」

「佐藤!」

「田中後ろ!」







試合が始まると部員達はスイッチが切り替わったように集中し始めた。

その顔はとても真剣で、珠妃まで見入ってしまう。







と、








「おお!ナイッシュー田中ぁ!」









なんと優太がゴールを決めてしまった。



その一連の流れを見ていた珠妃は、思わずフェンスを掴んでいたことにハッとした。



…ゆ、優太があんなに真剣に…。

あれは……ずるい…。




ドキドキと鼓動が鳴るのを感じて、珠妃はぼーっと皆に囲まる優太を見つめた。