最低王子と恋の渦









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――長い。





「まあ三鷹くんもね、お父さんと二人暮らしでね、大変なことも多いだろうけども」





この日本史の先生は結構な年齢で、話が長いことで有名な人である。


でもまさかこんなに長くなるとは。


最初は勉強とか真面目な話だったのにいつの間にか全く関係ない話になっている。

そろそろ切り上げたい。





「…先生、俺ちょっと用事あるので今日は失礼してもいいですか?」



「ああ、ああそうかいそうかい。それはすまなかったね、まあこれから勉強の方も生活の方もね、いろいろ大変だろうけども、」



「はい。善処します。では失礼します」





また話が膨らみ出しそうだったので俺は半ば無理矢理話を切り上げた。


そして足早に教室へ向かう。



田中さんと川平を二人っきりにさせたくなかったのに。

あの馬鹿はそんな俺の気持ちも察せないし、本当に苦労する。


…まあ田中さんにとって、川平がとても大事な存在なのは分かってる。

川平にとっても田中さんは大事で、そしてこいつに至っては田中さんのことを想ってるんだ。


俺が踏み込んでも通用しないところに川平はいる。



だからこんなに余裕がなくなる。




…そもそも、俺はどうやって上手く相手を大切に出来るのか分からない。


付き合い方がよく分からないんだ。