「ごめん、通知オンにしたままだった」
「い、いいよっ。……誰から?」
「藤本さん」
ズン、と。
心に重りが乗ったような感覚が私を襲う。
なんてタイミングの悪い…。
「……」
と、
三鷹くんは待ち受けに表示されている通知を確認していたようで。
そのメッセージを見て、三鷹くんはフッと嬉しそうに頬を緩めたのを私は見逃さなかった。
「…と、ごめん田中さん。話の途中で」
「…………う、ううんっ」
話すまでもないのかもしれない。
…どこかで私は、
カラオケに来てくれた三鷹くんに安心してて。
三鷹くんが藤本さんのことをまだ好きでいるなんて、もしかしたら私の思い違いなのかもしれないって期待してて。
復縁なんてしてないのかもって。
…でも、藤本さんのメッセージを見てそんな顔をする三鷹くんにそんな淡い期待はもう持てない。
私は臆病だ。
「…田中さん?」
「……」
「続き、話さないの?」
「…ど、どうでもいいことだったから!もういいんですっ」
「田中さんの話すことはいつもどうでもいい内容だけど」
「…あー、そうだったかぁ…」
「……」
「……」
「田中さん」
私はバレないように取り繕って三鷹くんを見上げる。
三鷹くんは眉間にシワを寄せてこちらを見つめていた。
「何」
「…えっ?何って…何が?」
「完全にいつもの田中さんじゃないよね」
「そ、そう?普通だけど…」
「馬鹿。顔に出てるんだよ」
「……さ、左様でしたか…」
「頼むから言ってよ」
「……でも、ほんとに気にしなくていいっていうか…」
三鷹くんにこんな惨めな私を晒したくない。
かっこいいことなんてなかったけど、あまりにもかっこ悪くて死にそうになる。
いや今も死にそうだけど。
…と、不意に三鷹くんは眉間にシワを寄せてこちらを見やる。
「俺田中さんのこと分からないんだよ」
「…え?」
「知りたいことがほとんど分からない。
…だから、お願いだから教えて」
そう訴える三鷹くんはどこか必死な様子で。
初めてそんな三鷹くんを見た。


