最低王子と恋の渦






…聞けない。

藤本さんはどうしたのか、藤本さんとどうなったのか。


ヘタレな私はまだ切り出せていない。



と、今度は三鷹くんが口を切った。





「…あのさ」



「は、はい?」



「あの短髪の男もカラオケにいたの?」




短髪の男…、

和久井くんのお兄さんしかいないな。




「ううん、あの人はたまたまカラオケに来てて…。そんで私がトイレに行ってた時にたまたま会って…」



「すごい偶然だね」



「…まあタイミング悪かったですね」



「俺がいない時にあの人出没してる気がする」



「た、確かに」





でも。

その度に三鷹くんが助けに来てくれて。


…私にとって三鷹くんはヒーローなのに。




三鷹くんの一番に守りたい女の子は、きっと私じゃない。





「…み、三鷹くん」



「うん?」





…もういっそのこと、ここで砕けてしまおうか。

もちろん告白する勇気はないけど。


佐々木くんの時だって…私は失恋して、

それから今こうして三鷹くんに恋してて。



失恋して気持ちが消せるならそれはそれで新たなスタートにもなるわけで。


きっちり諦められるように、ここで聞いておかないと。





「あ、あのさ、」


『~~♪』





…!?

突然軽快な電子音が鳴り出し、私の言葉は見事遮られてしまった。


三鷹くんは「あ」と思い出したようにポケットから携帯を取り出す。

どうやら音の正体は三鷹くんの通知音だったようだ。