「…連絡先交換してて良かった」
と、不意に小さく三鷹くんは呟いた。
私は目を虚ろにしながら話す。
「…そうだね、交換してなかったら…」
「田中さんが無事で何よりだよ。奥さん達にとっても」
「ほんとにお母さん好きだねぇ…」
「…あのさ田中さん」
「…ん?」
「俺は別に田中さんのお母さんの為だと思って動いてるわけじゃないよ」
……んん?
どういうこと?
「田中さんのお母さんに会いたいから家にお邪魔したこともないし、お見舞いに行ったりしたこともない」
「……え、でも…私がお母さんの為でしょって聞いた時、三鷹くん『まあね』って言ってたじゃん…」
お見舞いのあの日、三鷹くんは確かにそう言った。
すると、私の言葉を聞いた三鷹くんはフッと笑い、少し俯いた。
「嘘だよ」
こちらから三鷹くんの表情は見えず、ただただ私は呆然と彼を斜め後ろから見つめた。
…嘘?
あの『まあね』は…嘘だったの?
「な、なんで嘘ついたの!?」
「否定するのも呆れるくらい田中さんが勘違いしてたからだよ。ごめんね嘘ついてて」
ま、まじでか…。
じゃあずっとあれは私の大きな勘違いだったってこと…?
ていうかまた私勘違いしてた!?
これじゃあもう治んないかも…。


