最低王子と恋の渦






『…着いた』






電話の向こうからそんな三鷹くんの声が聞こえ、公園の入口付近に顔を向ける。



暗闇の中にうっすら人影が見えた。





三鷹くんだ。





その人影はズンズンこちらに向かって来ており、気付くと既に電話は切られていた。










「み、みた、」




「田中さん」




「…は、はい」




「具合は?今はまし?」




「え、あ…うん…今はまだまし。頭は痛いけど…」









そっか。と彼は私の座るベンチの前にしゃがみ込み、ふーっと息を吐いた。



外灯に照らされて、三鷹くんの首元を伝う汗が光って見える。




…私の為に走って来てくれたんだもんね。








「三鷹くん…ほんとにごめんね、ありがとうっ」



「うん。…ていうか家族とか澤村さんとかに連絡出来なかったの?」



「…家族は寝てて、菜々は携帯忘れちゃってて」



「……川平は?」



「今おばあちゃん家に… 」



「…なるほどね」








そういうことか。と三鷹くんは少し息を吐きながら笑った。