章吾は異常なほどまでに尾関を嫌っていた。 ――どうしてそんなに嫌うんだ? 一度だけ疑問を投げかけたことがあった。 章吾は終始、険しい顔つきで、尾関を嫌いになった経緯を話した。 小学三年生の時に、章吾の家に届いた尾関からのラブレター。 【あなたのことを思うと夜も眠れません】 あまりにも臭すぎる言葉。 家族に散々冷やかされ、 『好き』の一言さえも書かれていなかった手紙を、章吾はイタズラだと決めつけた。