しかしてあれから1週間がたち、更に冷え込みが強くなってきた。
私たちは相変わらず二人並んで茶をすする。
駅前のお茶屋さんでセールだった緑茶を買ってきて、急須に淹れて飲みながら芋羊羮を切る。
そして、クイズ番組を見ながらどっちが先に答えを言えるかを競う。
二人ともお揃いの半纏を着て肩までこたつに入り込み、こたつから出る気配はまったくない。
なんせここは築40年そこそこの木造アパート。
そのためストーブは御法度。万が一家事にでもなったらそれはもうでっかい焚き火と勘違いするほど、派手に燃える。
よって、ハロゲンヒーターくらいしか置けない。
部屋の中は外じゃないかと勘違いするくらいに冷たい風が吹き付ける。
こたつの中は天国だ。
布団は冷たいのでこたつに入ったまま寝ようとするのだが、毎回松田氏に怒られる。
風邪をひくとか疲れが取れないからこたつで寝ちゃダメ。と言われ、消灯時間になるとかちっとスイッチをOFFにされてしまう。
修学旅行の班長よろしくやることが同じだ。
が、夜中の底冷えはキンキンで、それを甘くみてはいけない。
ベッドならば足元から上がって来る寒さは感じないだろうが、なんせ古ぼけたアパートだ、ベッドなんて高価で重量のあるものを置いただけで底が抜けるだろう。
絶え間なく吹くすきま風が『お邪魔します』の挨拶なく入り込んでくる。
頼んでもいないのに勝手にするりと入り込んできて布団を上から下まで舐めていく。
我慢ならずスイッチを入れようとしたが、スイッチは松田氏の借地にあって、届かない。
くそ。遠いな。
しかしながらこの寒さには敵わない。スイッチを消されたこたつの中は冷たく寒い。こたつの役目を果たしていない暗いこたつの中を覗くと泣きそうになる。
ごそごそとやっているが松田氏は爆睡していて気づかない。なので、ささっと抜け出してスイッチを奪取した。
ところで気がついた。松田氏側、そんなに寒くない。むしろぬくぬくしている。
何故だと周りを見たら、そうだ、窓がない。私側に窓があり、松田氏側はこたつと壁で風がうまい具合に遮られていた。
私は寒い思いをしてるのに、奴はぬくぬく寝てると思うとなぜだか無性に睡眠を邪魔して意地悪に起こしてやろうかと思ったが、幸せそうな顔をして寝ている松田氏の寝顔はなんだか子供のようで可愛かった。
静かにスイッチを入れ、布団に戻り、体をこたつの中に入れて頭だけ出して、目をつぶることにした。

