帰ってきたライオン


というながれからの、どういうわけかいつもの居酒屋『たぬき』にいる。

安い、旨い、早い、適当な店主ひっくるめ、落ち着ける場所なので、何かあるごとに使わせてもらっている。

ここのお勧めはもつ煮込みだ。トマトベースな煮込みは今だかつて食べたことがない味で、絶品。

これと米があればもうそれだけでその後の時間が幸せに送れる。
もちろんのこと、私たちの目の前にはそのもつ煮込みがあるわけでして、旨い、旨い、と言いながらもつと米を交互に口へ運ぶ。

カウンターに女二人。
テーブル席は既にうまっていて、近所の学生の飲み会に使われていた。

大学生の飲み会は元気があってよろしい。
こちらにもそのエネルギーのおこぼれが入ってくるようで、若干若くなった気にさえなる。
と、思いたい。

無言で食べ続ける隣の上田さんは『かっこむ』という言葉よろしくざざざざっと米をかっこんでいる。

確か、松田氏の話が聞きたいからと呼び出され、そして食事までおごらされているのだが、いまのところその兆候は無い。

と、首をかしげていると、

「っはー、お腹いっぱい! 満足満足、ちょー満足感たっぷり。明日運動しよーっと」

お腹を叩きながら背もたれに倒れ、気持ち良さそうに天を仰ぐその横顔を見れば、くすっと笑いが込み上げてくる。

なんだ、なかなか可愛らしい一面もあるんじゃないか。と、母親心になる。