帰ってきたライオン


「やっぱ大きいので正解だね」

「あったかいですね」

肩までこたつ布団にもぐり、ついで話に上がった鍋をし終わったところ。

これまた激安スーパーで仕入れてきた鍋具材。
カット野菜、茸類、肉を買い、こんぶつゆでくつくつ煮込む。
からの、オレンジジュース。酒は無し。休肝日も必要。

ヘルシーだし暖まるし、家計にも優しい。

確かに松田氏の言った通り、全てのものがこたつの上に置かれ、床には何一つ置いていない。
それはそれでいいことだなって思った。

デザートには、『二度と無いおいしさ』が謳い文句のケーキ屋さんで買ったショートケーキところころ豚さんといういちごのムースの乗っかった豚の顔をしたケーキ。

松田氏が淹れてくれた紅茶は香り高く、香りだけで身体中の疲れが溶けていくよう。

ちょっと風呂入れてきますねって言って立ち上がり、さぶっと言いながら小走りで風呂場へ向かう松田氏の手には、食べ終わったケーキのお皿が二枚重ねられている。

なんだろ、この居心地のよさ。

たぶんこういうのって女のひとがするんだと思う。本来的には。

しかしだ、うちに居座ってからというもの、松田氏が全てをやってしまう。

いや、やらないわけじゃないんだけど、あとでやろうと後回しにしてしまうことを、松田氏は後回しにしないでさっさとやってしまうわけで、結果、私は何もしないという状態になる。

しばらくするとガスのつく音が聞こえ、ジャッジャッジャッと浴槽を洗う音が聞こえてきた。

私もなんかやろうと見渡したが、鍋は既に台所へと移動し終わっていて、野菜の入っていたザルも綺麗に洗われていた。

うーんと唸って気がついた。

「よし、紅茶のお湯だけ沸かしておこう」

やかんに水を入れて火をかけた。

やっぱ台所寒い。ぷるぷると震えながらやかんに手をかざした。