帰ってきたライオン


最後の最後まで変わらぬ3人。

松田氏の車のトランクは羊君の荷物とお土産でいっぱいだ。

車内では羊君の下手くそな鼻唄が響き、少々聞き苦しいが我慢する。でも、


「ほんと、うるっさい下手くそな鼻唄」

「人が気持ちよくハミングしてんのに、うるせーな」

「なんの歌だか分からないけど」

「俺、自作だし」

「よけい無理ー」

「知るかっ」

成田へなんか着かなければいい。

ここにこうして三人で居ればいい。

と、思っていても、松田氏の車は法廷速度厳守で真ん中車線をひた走る。

天気は良好。

水色の空には綿のようなふわふわの雲が浮かんでいる。

焼けつく太陽が眩しいふりをしてサングラスをかける。

松田氏がクスッと笑ったのが視界の片隅にぼけて、瞬きをするのを、こらえた。

今瞬きをしたら涙腺から漏れ、溜め込んでいるものがこぼれ落ちる。

そんな状態。

後ろの席の羊君の様子もさっきと違う。鼻唄もやみ、じっとこちらを向いているのが手に取るように分かる。

鼻水も出てきたけどずずっとやるわけにはいかない。
垂れる。

「暑いので窓開けていいですか? 外の空気も清々しいと思いますし」

言いながら松田氏は窓を全開にするついでに音楽のボリュームも上げた。

いちいち優しい松田氏には感謝の言葉しかない。
絶対気づいてるし、わかってる。

開いた窓に顔を向け、気づかれないように涙を拭いて、鼻水もすすった。

っはー、っと自分にだけ分かるようにため息をついて窓の外を流れる空気をおもいきり吸い込んだ時、