帰ってきたライオン


「グリーンさん悲しませるようなさ、同じこと、絶対にしないで」

「……お、おう、任せとけよ」

「その任せるっていうの、本当ですかねえ」松田氏も便乗してきた。

「それじゃぁあー、寝るよ!」


右手を高々と上げて立ち上がるとくるくるして、目が回っていて、パタンと誰かの腕の中に落ちたのと同時に、記憶も落ちた。

耳元で羊君と松田氏が話しているの声が聞こえたけれど、何を話しているのかは頭に入ってこなかった。二人で楽しそうに笑っている声が聞こえて、私も混ぜろ! と思ったところで完璧に落ちた。

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で、今に至る。



熱めのシャワーを頭からかぶり汗をかいて酒を抜く。
これから成田まで羊君を送っていく。
三人で食べる朝御飯もこれが最後。
蹴っ飛ばされて起こされるのも最後。
羊君が掃除が終わるまでこたつの部屋に入れないのも、最後。
三人で買い物に行って走り回るのも、もうできない。


夜寝るときの恒例行事、どこのタイヤかの音当てクイズ、羊君の焼きもち攻撃も、もうないのか。

頭を振った。

頬をパンパンと叩き、ふっ! とひとつ大きく息を吐いた。

何も永遠にってわけじゃない。仕事が片付いたらまた戻ってくるんだから、悲しむことはない。

元気に見送ろう。

そう決めて、シャワーをきゅっと止め、髪の毛をわしゃわしゃとタオルで拭いて、服を着てバスルームを出……


視界には一心不乱に何かをかきこむ羊君の背中。


事、いぶかしげ、傾げる首、
松田氏の苦笑い、鼻に辿り着いた香り。


「羊君! 私のも残しといて! 全部食べちゃダメだよ!」

走り、中身を確認しようと体をのめりこませると、

好物のいくらの醤油漬け松田氏バージョンは既に半分がなくなりかけていた。

羊君がごはんの上にたっぷりとかけて、かっこんでいる。

私の悲鳴と羊君の食べるスピードが増した。