帰ってきたライオン


事の発端はグリーンからのいきなりのメール。

『美桜さんに書いていますが、時々違う人が返信してると思います。もしそうだとしたら連絡をお願いします。話がしたいです』

という簡単な内容をいたって難しく書いた書き出し。勿論難しい文面は読まずに松田氏にパス。

松田氏は数日考えた。
でも、ここでそれぞれの関係をはっきりさせたい。させられると思った松田氏は、私と羊君に内緒で連絡のやりとりをしていた。

羊君は今何をしているのか、美桜という彼女がいると聞いたけど、こっちにいる最後の方はもう何にも言ってなかったから既に終わったものだと思っていたけどどうなっているのか、あなたはいったい二人の間で何をしているのか。

核心しかついてこない質問に松田氏はこれまた同じく丁寧に答えた。

まず、羊君は何をしているのか。
会社で働いている。次のミッションの打ち合わせと計画書があがらないからまだ日本にいる。それさえ決まれば遅かれ早かれオーストラリアに戻るはずだ。

美桜という彼女のことは……
実はそこが一番の問題でして、今のところ私と成田さんは同じ気持ちだと思っています。

羊さんと成田さんは現在においては恋人関係には無く、今はその関係は終わっていると思う。

どういうわけか私たちは一緒に住んではいますが、それはたぶん羊さんのやきもちと、

はっきり言葉にしていない別れのことば、もしかしたら元に戻れるのかもしれないといったほんの少しの可能性とあなたとの間での不安定な心理からなんじゃないでしょうか。

でも確実に羊さんの心は成田さんにはなく、あなたにあるような気がします。

そして、特に何をするわけでもなく普通に生活をしていることを話した。


羊君と私はそれを聞いても何も反論はしなかった。


グリーンはいぶかしげに私と羊君を見やったが、何も言わないのを確認すると、松田氏に『先を話して』と顎で合図した。

最後の、松田氏はいったい何をしているのか。


「成田さんと羊さん、この二人がきっぱりと離れてお互いの道を歩むのを待ってます。今はまだお互いに完璧に未練が絶ちきれていない状態ですので。焦らずゆっくりひとつひとつからまりをほどいていこうかと思っています」

とグリーンの目をじっと見て、そう言った。

「といういきさつから会って話をしようという話になったんです」

「そう。私からお願いしたの。木星がそういう気持ちなら私たちは一緒の気持ちだ。だから、それでこの変な関係を紐解こうって、で、日本へ来たわけ。わざわざ。めんどくさいの我慢してきたの」

「待て待て待て待て、話は見えてきたけどちょ、木星って?」羊君は目をパチパチさせている。

「木星は俺の名前ですよ」

「まじかよっ」

「なんですかいきなり。しかも今さら」

「おもしれーなお前」

「羊さんに言われたくないんですけど」

「うわー、初めて会ったわ、木星って名前」

「それはよかったですね」

「まじかー。木星かよ。思い出したわ。まじおまえ、あれだろ、最強だったやつだろ」

「……意味が分かりません」