しばし四人の時間が止まり、
羊君はグリーンを、松田氏は私を、グリーンは羊君と私を、私は松田氏とグリーンを、何がどうなっているのかを読み取ろうとしているのが手に取るように分かる。
松田氏、なんでそんなよれよれなの?
スーツは疲れているし、清潔感たっぷりな人だったのに今じゃその面影は無いに等しい。
でもいつも通りの優しい瞳は変わらなかった。落ち着く。
ほっとできる相手。
松田氏からは『疲れた』ということしかよみとれなかった。
グリーン(さん)、あなたはいちいちきれい。写真なんかよりずっときれい。
顔小さいし目は大きい、まるで猫みたい。金色の髪がふわりと揺れて、座っていてもスタイルのよさは分かる。
ショートパンツから伸びた脚は細くてきれいに手入れがされていて、本当に一児の母なのかと疑いたくなるほど。
ばちっと目が合った時に感じたことは、
『なんにもないでしょうね!』
っていう確認するような強い眼差し。もちろんのことなんにもないんだから、私だってその眼差しには負けじと見返した。
隣にいる羊君とちらりと視線を合わせ、
『とくだん、何もないと思う』
ということを伝え、頷き合う。
「タイガー、まずは座って」
自分のとなりをぽんと叩き示したのは、私とのアイコンタクトが気にくわなかったんだろう。
にしても、今日本語話した。
羊君もきょとんとして止まっていて、「なんでお前話せんの」と小さな声で言いながらも指定されたところへ歩いて行く。
「成田さん」
呼ばれて私は松田氏の隣へ何も言わずに行く。
これから何が始まるのか、たぶん松田氏とグリーンが一緒になる宣言でも始まるんじゃないか。
と、どきどきする心隠してポーカーフェイス。

