帰ってきたライオン


たどり着いた場所はなんてことない、駅前のホテル。
毎日通る場所だし家からだってわけない場所。

呼吸を整えて顔を見合わせる。

朝一のロビーは人もまばらで閑散としている。
と思いきや、旅行客やら外国人観光客などでロビーは活気に満ちていた。

フロントの人も忙しそうにあっちへ行ったりこっちへ行ったりしていて私たちには気づきもしない。
気づいているのかもしれないけれど、フロントの前まで行かなければ対応はしないといったところか。

ざっと左右を見回してみると、ロビーの端、たった今昇りたてのお日さまの光が当たってぬくぬくしているソファーに深く腰を預けて足を組み、腕組みをして下を向いている松田氏っぽい姿を見つけた。

若干髪の毛はボサボサだし遠目にやつれてるっぽく見えたから、もしかしたら人違いかもと思って、

「あれっぽくない?」

「どれ」

小さく指を指した方を羊君は勢いよく向き、目を細めて確認する。

「あのくされ金髪、間違いない」

肩で風を切るように歩き始めた羊君に遅れをとらないように小走りに続く。

だんだん近づいていくにつれてはっきりしてくる二人。
松田氏の前にはグリーンとおもしき女性の後ろ姿。テーブルにはコーヒー。

松田氏は下を向いたままで、グリーンはコーヒーでも飲んでいる風だ。

「おい!」

テーブルに着いた早々、羊君は迫力のある一言を投下した。

はっと顔をこっちに向ける二人。

写真立ての中にいた人物が目の前にいて、羊君と私を交互に見て、大きな瞳を更に大きくしてぱちぱちしていた。

松田氏は寝ていたようで、眠そうな目を重たそうに数回瞬きをして目を覚まそうとしている。