帰ってきたライオン


「よし、行くぞ」

「……行くってどこへ? 仕事? 早くない? 今日いつもより早いしまだあと2時間もあるよ」

「あいつらんとこ行くんだよ。だから早く起こした」

「! 知ってるの?!」

「連絡来た」

「いつ」

「ちょー朝方」

「朝って……言ってよー」

「今言った。で、確かめに行く」

「……ん」

でもなんで朝方なんだ。

慌てて私も電話を確認する。松田氏から連絡来てるかもしれないって思ったから。それなのに全く無し。

「私のところ、連絡来て無い」

「だろうな」

「どういうこと」

「グリーンはそういう奴だから」


松田とお前との関係は既に松田から聞いてるだろうし、グリーンは俺に対して怒ってるはずだから、お前に手出しはしないはずだと自信たっぷりに頷いた。

「ってことは松田氏には手を出す」

「かもしれない論」

「かもしれない論って、あるってことじゃん」

「それは会ってみて相手を見なきゃ分からない。それは美桜が得意中の得意だろ」

「たしかに」

「よし行こう」

「ん」

ジーンズにTシャツという走れる格好で羊君と並んで家を出て、鍵をかけたとたん、走った。

誰もいない道、きれいな空気、二人で並んで走った昔を思い出す。

付き合った当初は健康のために走ろうって話になって、三日坊主だったけどそれでも走った。

くすって笑っちゃう。隣の羊君をちらっと見たら真剣な顔。きっと羊君は忘れちゃっている。

でも、それでいいんだって思った。