帰ってきたライオン


「羊君あのねっ……」

「しっ!」

「は?」

「ちょ、隠れて」

「わっ」


お勘定も終えて外に出て新鮮な空気を吸ったところで羊君が話を遮った。

さっき感じたことを言おうと思って、けっこうだらっと時間が経ってしまった。

気づけば外に出てきている。

ベタに電柱に隠れようとする、変なところピュアな羊君はちゃんと隠れてるけど、羊君の横に立ってる私は、

「私、めちゃめちゃ見えてるよね」

「しゃがめ!」

腕を引っ張られ無理矢理しゃがませられ、静かにしろと強めに言われた。

言われた通りに口をチャックして羊君の視線の先を追った。

目を見開いた。

「嘘でしょ」

「そう願いたい」

「まさかあれって」

「ほんと、まじでひびってる。まさかのまさかが起こっている」

「なんで? どうなってんの?」

「知らん」


大通りに面した路面店から仲良く並んで出てきたのは、

そう、松田氏と、なんとグリーンだった。

なぜグリーンがここにいて、なぜ松田氏はあんなにニコニコしているのか。

二人の手元には買い物をしたと思われる袋。

楽しそうに笑いながら肩並べて歩いてるって、どゆこと?

「知り合いだったっけあの二人?」

「なわけねーだろ。グリーンはお前のことしか知らないはずだ」

「じゃ、なんで? 「「あ!」」

同時だった。
ほぼ同時に「あっ!」と言い、思い浮かべたこと。

メールだ。

私宛にきたメールの翻訳は全て松田氏がやってくれていたわけだ。

てことは、グリーンのメールアドレスだって分かったわけで、知らぬうちにこっそりと自分のメールアドレスから送ることだってできたわけで。

そしらぬ顔して何してんの松田氏。

もしかして写真のグリーンを見て、まさかの好きになっちゃったとか?

んで、知らぬ間に連絡しあってたとか?

「おい」

それでそれで、日本で会おう的な約束してようやく日本で会えて想像そのままの人で、はまって……

「おい、待てって」

だからLINEでもあんなそっけなくて、もしかしていつまでもはっきりしない私に愛想をつかしたとか? そうなの?

「おい、だからよ、その明後日な方向の考えそろそろ止めろ」

「ごめん。なんかこういろんな方向に考えちゃって」

「だめだめ。それやめたほうがいいぞ」

「気を付けます」

「とにかくだ、」

二人の歩いて行った方へ目を向けると、角にあるコーヒーショップの中へと入って行った。