「最初は、大変なんだなあってその程度だったんだ。
向こうも向こうでこういうの慣れてたし。
ほら、グリーンとこの母ちゃんがそういうホストするのが好きな人でさ、日本人だけじゃなくていろんな国からも来てたから。
俺がいたときは他に台湾の奴とイタリアから来てる奴と三人いた。
でも、他の二人はドライなんだよな。グリーンのことも一応気にはしてるんだけど、基本、無関心。
子供の父親がいないのも知ってたけど何かいうわけでもなく。
あ、もちろんあいつもそれが普通だったし、自分ひとりで育てていくって腹くくってたし、そういうのまったくなかったんだけど。
結局最後まで居座ってたのが俺で、そのうちなんかファミリーみたいなかんじになってきて、向こうの家族にもそんな感じで接してもらったりしてさ。
そんなこんなであっという間に子供が生まれて、そしたら今迄なんか目じゃないってくらい忙しくなって、美桜に連絡しなきゃとは思ってたんだけど、そこまでなかなか手が回らなかったっていうか、
正直、グリーンのこと助けなきゃって、助けたいって思ったりしてよ……
そしたら、五年過ぎてた」
と、一気にまくしたてた。
どうやら羊君は私に連絡を入れようとは頭の片隅に少しは思っていてくれたらしい。
が、目の前に妊婦さんがいて、頼るべき旦那がいなくて、それこそもうずっといないわけで、そんなこんなで頼られたら突き放したり何事もなかったようにはできなかったようで。
結局手となり足となり、二人三脚でなんとか生活してきたということだ。
ともあれ、羊君の本業はタイヤの買い付けというミッションがあったわけで。二つのことを同時にするのはすごく大変なことだったと思う。

