帰ってきたライオン


オーストラリアにはもちろん仕事で行っているので住む家は用意されているわけだが、当時オーストラリアでは週末ホームステイというシステムが流行っていたそうで、会社の知り合いしかいない羊君にとってそれは魅力的なものに映った。

元からどこにでも顔を出し、楽しげなものだと思ったら尻尾振ってほいほい出向いて行く。

週末だけでも現地人のおうちに泊まれて、泊まるだけじゃなくさまざまなアクティビティーだって経験できるし、生のオージーイングリッシュだって学べるわけだ。

みなさんご存知の有名なアレ、

『ハバ グダイ マイ』

Have a good day mate.

ともあれ、外国のマクドナルド、たとえばアメリカのマクドナルドで『お持ち帰りで』と言うときは『トゥーゴー』で通じるわけだが、オーストラリアでそれをやっても『あんだってよ?』と言われてしまう。

オーストラリアの場合、『テイクアウェイ』と言わないと通じないというような、おっと!? という新しい発見もある。

そんなこんなで郷に入ったら郷に従えだ。

好奇心旺盛な羊君はホイホイとつられて飛び付いたわけだ。

申し込んだ先の受け入れ場所がグリーンのうちだったわけで。

初めて会ったときからお腹は大きかったが側に旦那らしき人は見当たらず、最初の1、2ヶ月は様子を見ていたがそれでも様子がかわらなかったのでおもいきって聞いたそうだ。

「旦那は?」

「いないよ」

「結婚してないの?」

「してたけど別れた。てか別荘入っちゃってるから」

「ああ、なるほど、景色の悪い別荘か。そうなんだ」

というわけで、ああ見えて面倒見のいい羊君のことだ、週末だけとはいえ世話になるので何か力になることがあればと進んでいらん世話を申し出たに違いない。

グリーンのお父さんは初老混じりで力仕事やらなんやらは羊君にまかせていたということだ。

買い出しの荷物持ちからはたまたバーベキューの後始末、家の掃除も率先してやった。

律儀なところもある。
羊君のそんなところもよかったっちゃよかったわけで。