帰ってきたライオン


羊君に送っているメールは私のところにも回ってきているという真実を提示してあげた。

今迄に送られてきたメール全ても私のところにも送られてきていて、しかも、英語の分からない私のために松田氏がほぼ全てを翻訳してくれていることもさらりと告げた。

案の定、あいつも知ってんのかよと逆切れモードだったけれど、しれっと何も言わないで私たちに内緒にしていた羊君が悪いと言った。

「いや、別に内緒にしてたってわけじゃないよ」と茶を濁す言い方で収められたのでとりあえずこの辺でつっこむのはやめる。

妙にプライドの高い羊君は自分の立場が弱くなるとふてくされるという子供じみたことをするのであまり深くは入り込まない方が身のため。

そうなってしまうも出てくるのに時間がかかる。その時間を待っているのは非常にもったいない。

「俺があいつに送ったメールもそっちに送られてるの?」

「大丈夫だよそんなに青い顔しなくても。それは無いから。きっと羊君からのメールは自分のものだからってことで私たちには送ってきてないんじゃない?」

「そっか」

「何そんなあからさまに安堵してんの。なんかムカつくなあ。自然にやってるから更にたち悪いよね」

「そんな怒んなよ。メールとか見られるのはずいじゃん。無理だろお前だって」

「ま、まあ……そこは、確かにね」

くっそ、この話し方もムカつく。そもそもそんな恥ずかしい内容の文を書いていたってわけか。

なぜグリーンに書けて私に書けない?
ちゃちゃっと書けばすむ話なのに。

この五年、1度たりとも、メールも手紙も貰ったことなどない。

ほんと、ひどい話だ。

と、嫌味のひとつも言いたくなるけど、今更なのでとりたて言う言葉もみつからなかった。

それに、そんなことをひしひしと思い込むような月日はとうの昔に過ぎ去っているのだ。