帰ってきたライオン



愛しのこたつが撤収されて早2週間。

外の空気は梅雨が通り越し、梅雨の残り香が漂う夏の頭。

沖縄辺りから夏が顔を覗かせ、梅雨が通りすぎたのかと梅雨の尻を確認している頃。

梅雨は怒りっぽいので、自分がまだ日本列島に梅雨の爪痕を残し散らかしているところに夏が後ろから追いかけてくると、鼻持ちならぬと北海道まで進んだ梅雨が夏の頭のところまで戻ってきて引っ掻き回すことがある。

よって、夏は梅雨がちゃんと北海道を抜けたのを見届けてから行動をおこさなければならないわけだ。

そんな怒りっぽい梅雨同様、グリーンもまたそんなかんじだった。

返信をしなかった私宛に頻繁にメールが来るようになっていた。

ややしばらく放置していたら、どこかで覚えてきた日本語で滅茶苦茶なメールが来るようになった。例えば、

『わたしはグリーンです。mioにてがみかいた。
てがみおくりました。よんだか? Australiaはいまちょとさむい。にほんはどうだ。tigerはげんきか。れんらくない。てがみほしい。はやくてがみ。どうなっている』

素晴らしい行動力。
てか、きっと相手がどう思うか考えないんだろう。

私はこれを送りたいから送る。なんにも連絡がないから届いているか心配、で、何してる? 読んだらさっさと返信を寄越せ。

といったように、こちら側がなんらかのアクションをおこさないかぎりいつまでも送ってくるに違いない。

あまりにも放置をしっぱなしだと失礼にあたる。

人に心配をかけてしまうことほど迷惑なことはない。
その心配のおかげでその人が他にしたいことができなくなってしまっては申し訳ない。と、自分の心が痛み始めてきた。

羊君はグリーンに連絡をしていないのだろうか。
あれ以来一切のオーストラリアネタは暗黙のタブーとなっている。

三人が三人ともその話題には触れないようにしていて、確かにそこのところがしっくりこないのでもあるが、話の切り出しのタイミングが見当たらないのも確かなこと。

タイミングさえうまく掴めればいくらでも切り出せるし、話したいことだって盛りだくさんある。

グリーン始め、こどものことだって気になるし、言ってないけど、羊君のウィークリーだってどうなってるのか心配になる。

住んでいないのにお金を払うのって、無駄だと思うし、羊君はどう思っているんだろうとか、よけいなお節介をやいてしまう。