時刻は午前0時過ぎ。

もう、いにしえの祭り当日だった。




やっとセイヤの腕から解放された私は、すぐに荷物を拾い上げた。




「じゃ、じゃあっ!おやふ…おやすみ!」


か、噛んだ…はずい!


そんなことを思いながら…退散しようとすると、腕をガシッと掴まれ止められる。


「な…ナンデスカネ?」


カタコトの外国人みたいな棒読みになってしまった。


顔をみないようにしてると、腕を引っ張られて顔を見るよう強制された。



そして、おでこに小さな感覚。


それは、突然で。



漫画やドラマで見る、ちゅっというリップ音付きでやって来た。



…今、私…



おでこにキスされた⁉︎



セイヤを見ると、涼しげな笑みを浮かべていた。



「前に比べれば、可愛いもんだろ?」



なんて言って…


その顔が…カッコよくて、なんだか胸が高鳴る…!





私は声も出せず、口をパクパクさせた。



そして、やっと出た私の一声は…





「ば…ばかあああぁぁぁぁぁ‼︎‼︎」



そう叫んで、戦闘靴をフルに生かし、模擬戦場をあとにした。


どんなに速く走っても、おでこの感覚は消えなかった。