「…………ごめんね」



私は蛇にしか届かないであろう小さな声でつぶやく。


そして、私と蛇の間に真っ白な光の壁が現れて


蛇がその中へと吸い込まれ、光と同時に消えた。






キマイラはもう、キマイラと呼べない。

だって、尻尾がなくなったから。


私は目線をキマイラへと移すと、右手を上げて、手に現れた光のサークルを投げつけた。

サークルは、まるでフリスビーのような形。


右手に急に現れても、別に驚きはしなかった。


サークルはすぐキマイラのところへ飛んで行って…


獅子の顔を横殴りするかのように、思いっきり当たる…!

そして、

キマイラは叫ぶ間も無く、円盤とともに消えてしまった。


…………もう、

部屋にキマイラはいない。





……熱い…!

体が、熱い!


けど何かを受け入れてるような…変な感じ。



『覚醒』の2文字がふっと頭に浮かぶ。


もしかして私……覚醒した?


両手をグーパーグーパーしてみるけど、異常なし。ただ、体が熱いだけ…じゃないっ!


「髪の毛、が……」


肩より少し下ぐらいの私の髪の毛は、THE日本人で真っ黒だった。

それがどうだ、今は腰までの長さで真っ白⁉︎


白髪とはちょっと違う…なんというか、少し品があるっていうの?心なしか光ってるし。



「ホシノっ‼︎大丈夫〜?」


「ミズキ……」



ミズキがブンブン手を振りながら私のところへやって来る。

覚醒した時のままの姿だけど、表情や行動はいつものミズキで。




「……うん、大丈夫!」


大丈夫じゃないかもしれないけど、私はそう言って笑った。


心に、なんとも言い表せない喜びとワクワク感を宿わせて。