黒のベンツは、校舎前の停車場で静かに止まる。


運転手がドアを開けてくれる。


外に一歩踏み出すと、授業開始のチャイムではなく、鐘楼の鐘の音が聞こえてきた。



私の中にある“これが高校”というイメージから掛け離れた高級感。


この景色に感じるのは、

「無駄金つかって馬鹿みたい」

という感想。



高校生が勉強するだけの空間に、ここまで豪華にする必要はないと思う。



庶民的な感覚と大きく掛け離れたこの学校は、

私立 三ノ宮学園 高等学校。


訳あって大怪我して入院していた私は、一年の休学のあと元の高校には戻らず、

全寮制の、金持ち学園に転校することになった。



年齢的には高3だけど、2年生のクラスに入ることになる。