久美の手を引っ張り、
観覧車に向けて走り出した。



上からゆっくりと下りてくる赤いゴンドラが、

激しく揺れていた。



ゾクゾクして楽しくて、

スマホで動画の撮影を始めた。



人のまばらな観覧車乗り場。


走ってそこに着いた時、
久美が悲鳴を上げた。



周囲の人もざわめいて、

皆、下りてきたばかりの赤いゴンドラに注目していた。




ゴンドラのガラス窓に、
血しぶきが飛び散っていた。



ガタンと大きな音を立てて回転が止まり、

ゴンドラの扉が自動で開いた。




中は…… 血の海だった。


本田卓也が、血まみれで崩れ落ちている。



「ゔゔ… あ゙あ゙あ゙……」



言葉にならない声で助けを求め、

扉からゆっくりはい出して来た。