「そうだ。まずはちゃんと説明してくれ。本当にあの赤鬼が殺したのか?」


なんとか冷静になるよう呼びかける浄火に、村人は早口で次々と言い立てる。


「子どもの姿が見えないのを心配した両親が、海岸まで探しに行ったんだ」


「そしたら海岸に、血だらけの子どもを抱いた、あの赤鬼が立っていた」


「きっと襲って喰おうとしていたに違いない」


「村の男たちが総出で赤鬼を捕まえて、ここまで引きずってきたんだ」


事情を聞いたあたしは目を剥いた。


しま子が、子どもを喰う? そんなバカなことがあるはずないのに。


きっと何か別の事情があったに違いない。


でも、人間の言葉を話せないしま子は、その事情を誰にも訴えることができない。


ああ、しま子がしゃべれさえすれば!


そうすればすぐ何があったか分か・・・・・・


あれ?


その時あたしは、しま子の体のあちこちが青色にキラキラ光っているのに気が付いた。


それによく見れば、しま子は全身傷だらけ。


島の人たちに襲われたようだけど、一般人の攻撃程度じゃ、しま子の体に傷なんか付くはずない。


あの青色は、どこかで・・・・・・。