神様修行はじめます! 其の四


「長ーーー! 長ぁぁーーー!」


頭の中でこれからの計画を練っていると、洞窟の入り口の方から叫び声が聞こえてくる。


なんだ? と振り返ると、若い男の人がこっちに向かって走ってくるのが見えた。


途端にあたし達全員に緊張が走る。


あの真っ青な、恐怖に凍った形相!


きっと何か良くないことが起こったんだ!


「おいどうした! 何があった!?」


「じょ・・・浄火・・・良かった、お前もここにいた・・・」


浄火の友人らしいその人はフラフラと浄火の肩に倒れ込む。


顔中汗でビショぬれで目の焦点も虚ろで、今にも失神しそうだった。


村からここまで、死にもの狂いで全力疾走してきたんだろう。


顔色がひどく悪い。ヤバイ、呼吸困難になりかけてる!


「しっかりしろ! 横になって落ち着いて息をするんだ!」


「・・・海岸に・・・化け物が・・・」


「なに!?」


「鬼が・・・大きな赤鬼が・・・出た!」


あたしは声をあげそうになって、慌てて口元を手で覆った。


海岸の赤鬼!? それ、しま子の事じゃん!


しまった! 見つかって騒ぎになっちゃったんだ! あぁ、どうしよう!


おろおろとパニックになっているあたしの目の前で、その人はさらに絶叫した。


「その赤鬼が・・・村の子どもを襲って殺しやがったんだ!」


「・・・・・・・・・・・・!?」


あたしの頭は、真っ白になった。