神様修行はじめます! 其の四


「・・・権田原の娘よ」

「は・・・はいっ?」


不意打ちで長から話しかけられて、お岩さんがビクッと反応した。


「お前の里から来た、産婆の所在だが・・・」


「は、はい!? 教えてくださいますの!?」


お岩さんは目を輝かせ、期待に身を乗り出す。


「その女は、もういない」


「・・・・・・はい?」


「その女は、この島の女ではなくなったのだ」


お岩さんがキョトンとした。


この島の女じゃなくなった? どういう意味だろ?


「・・・あ、まさか! も、もう亡くなっちゃってるとか!?」

「そんな!」


ショックを受けるあたし達。


ところが、そんなあたし達への長の返事は、さらに意外なものだった。


「あの女はこの島を出た」


「え? この島を出た? でも彼女は・・・」


「信子はこちら側から、そちら側へ戻った」


・・・・・・・・・・・・。


信子?


その名を聞いて、不可解な予感が瞬く間にあたしの胸を覆った。


信子? 信子って・・・・・・。


・・・・・・まさか。


「そう。力無き女だった、産婆の信子はもういない。あれはクモの糸を操る、長老へと変貌したのだ」