7月下旬の日曜日。 その日は、朝からとても暑い日だった。 真夏を思わせる強い太陽の光が、アスファルトをじりじり焼き付け、見る物全てをゆらゆらと揺らす。 遠くでは、気の早いアブラゼミが忙しなく鳴いていた。 湿気を含んだ、むっとした空気が体中にまとわりついて、全身に汗を噴き出させる。 そんな昼下がり。 「うわぁ、なんだかボロっちーね、このアパート」 私、坂田美鈴は、汗で滑りそうになる両手の大荷物を抱えなおしながら、新居アパートの玄関ポーチで建物全体を仰ぎ見た。