呼ばれた彼はシュートしようとしていたボールを手に持ったままこっちに振りかえって 「夏帆……」 と小さな声でわたしの名前を呼んだ。 わたしは走っていた足を止めることなく、びっくりしている翔矢くんに抱き着いた。 「翔矢くん!翔矢くん!わたし、やっと声が出るように出るようになったよ! 翔矢くん、ありがとう!本当にありがとう!」 周りに男バスの人たちがいるのも知ってるから、すぐに引き剥がされるかと思ったのに…… 翔矢くんもわたしを抱きしめ返してくれた。