南中学校。


そこがりえの通っている中学だった。


それほど大きくないこの学校は築80年を超える。


大分ひび割れやシミなどが目立つ中、最近出来たばかりの校長の銅像だけがピカピカと輝いていて、どこか居心地が悪そうに見える。


「田村、コレを資料室まで持って行ってくれ」


日直で職員室へ入ったとたん、担任の川村にそう声をかけられた。


「えぇぇ」


思わず、ダルそうに声を上げてしまう。川村は剥げたあたまをハンカチでぬぐいながら、りえに有無も言わさず大量のプリントを手渡す。


「日誌は先生が教室に持っていっとくからな」


そう言い、自分はさっさと別の仕事に取り掛かる。


強引にプリントを押しつけられたりえは、職員室を出てから一つため息をついた。