そう呟くと、冷凍していたシチューを解凍して手早く生野菜サラダを作る。

ドレッシングも、りえのお手製だ。


けれど、ふとリビングのソファに体を沈めると頭の中に浮かぶのは国方の唇と、意外にも美少年だった彼の顔。


たぶん、彼が美少年だったからこそ、りえの頭に残っているのだと思う。


顔が見えない状態でキスをしても、顔がガリベン君のようなら一瞬で記憶から削除していたに違いない。


ぼんやりと国方の顔を思い出していると、突然電話が鳴り出してりえは一瞬飛び上がるほど驚いた。


「誰よ」


バクバクと鳴る心臓をなだめつつ、ディスプレイを確認する。


着信、≪小野サヤカ≫