りえの肩まである防波堤の向こう側に、砂浜が広がっていた。


コンクリートとコンクリートに人一人分の隙間があり、そこに急な階段が砂浜へと、取ってつけたように伸びている。


りえは一瞬国方を見て、それから階段を一歩下りる。


一面に広がる砂浜にハッと息を飲む。無数の足跡がまだはっきりと残っていて、ここを彷徨い歩いていたのだと物語っていた。


国方も一歩階段を下りると、妙な気持ち悪さを覚えて、手で口を塞いだ。


まるで、吐きたいのに吐けないような気持ち悪さ。


すぐそこまで異物は出てきているのに、喉に引っかかって出てこない。


「夢の通りだわ」


一番下まで降りると、静かにりえが言った。


国方は気持ち悪さを堪えながらも、全く平気そうなりえに「大丈夫なのか?」と聞く。