安田は時計を見て「もう十一時か」と呟く。


あれからずっと一人で図書館にこもっているのだが、今更ながらあの女の子を科学的に説明するのは無理だと確信していた。


けれど、それをみんなに伝えるのが悔しくてまだ図書室にいる。


「どうせ国方さんにいやみ言われるし」


職員室に戻ったときの事を想像すると、国方の態度が手に取るように見えるようだった。


ため息を吐き出し、メモ帳に視線をうつす。


一応、すべての現象において通用するような事を調べていたのだが、それも約にたちそうにない。


安田はペンを持ち、クルクルと回す。