「お、説教が終ったか?」


数学の教師である小野サヤカがニヤニヤしながらそう聞いてきて「はぁ」とりえは顔を隠すように机へ向かう。


「まぁ、りえは元気がとりえだから、気にするな!」


大声でそう言うサヤカに、りえは赤面して俯いてしまう。


サヤカの、女のくせに男まさりな性格は昔から変わっていない。


なんてこと言うのよこのバカ教師! いくらイトコだからってやっていいことと悪いことがある!


心の中でそう叫び、隣のソラに視線を移す。


しかし、ソラもまるで知らん振りで教科書をペラペラめくっているのだ。


それから約三十分間の数学の授業を、りえはうつむいて過ごすこととなった……。