「俺、いつもカップラーメンだから平気」


と、国方が職員室の中にあるポットでお湯を注ぐ。


「いつも?」


「うん。俺、今親戚の家にいるんだけどさ、朝と夕方新聞配りしてて、その間に皆飯くっちまうから俺の残ってねぇんだ」


「ひどい」


りえが一瞬顔を歪ませる。


けれど、国方は笑って「その方がいいんだよ、親戚の家族と一緒に飯食うより、全然うまいし」と言う。


確かに、親戚に気兼ねをしながら食べるよりも、一人でカップラーメンを食べる方がマシかもしれない。


三人はそれぞれにカップラーメンを作って食べながら、何となく、先ほどの影のことを思い出していた。