その、兄貴が俺の目の前で。 娘の幸せを願いながら死んだのだ。 声が出ない。 それぐらい悲しい。 どうせなら、どうせなら。 俺が、死んでも良かったんだ。 兄貴は、家族を守って幸せな人生を送るはずだったんだ。 「っ、兄貴……っ。」 でたのは、たったその言葉だったけど。 その言葉には、色んな意味が含まれていた。 兄貴、ありがとう。 兄貴、ごめん。 兄貴……。 絶対に、俺が。 咲良ちゃん……いや、咲良を幸せにしてみせる。